痛みとこころ

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

 

今日は、「痛みとこころ」についてお話します。

痛みとこころは現在注目されている分野です。「リエゾン医学」といったりします。

なぜ、痛みがこころと関連が深いのか?をわかりやすく解説します。

 

転んで足をくじいたとします。そりゃ、誰でも痛いですよね。では、同じケガだと仮定して、その痛みには個人差あるでしょうか?きっと、痛いと叫ぶ人もいれば、こんなのたいしたことないと思う人もいるでしょう。そりゃ、忍耐強い人もいれば、弱気な人などいろいろいますから当然です。もし、もともと不安症のある方がケガしたらどうでしょう?きっと、痛みが治るのか不安で不安で痛みもより強く感じるはずです。つまり、こころと痛みに関連しているってことですよね。こころも痛みも脳が感じる現象ですからね。

まとめると、こころが不安定な状態というのは、「そもそも脳が痛みに対して敏感になっている」と解釈できるのです。逆に、好きなことに没頭しているときや集中しているとき、身の危険を感じているときは痛みが感じにくくなります。戦争中、兵士たちは生き残るために必死でした。日中、砲弾を受けてケガを負っても気がつかず、夜になってやっとケガに気が付いたそうです。痛みというのは、「脳の状態」をも反映するのです。

 

同時に、「痛みはこころを蝕みます」。苦痛が毎日続くわけですから、それが永遠に続けば鬱になったり、不眠になったり、物事自体楽しめなくなりますよね?痛いのに、笑えと言ってもムリです。となると、どんどん泥沼にはまり、こころは崩壊、痛みの増強という負のスパイラルを行くわけです。

 

なので、痛みの治療では、整形外科で処置をしたり手術したりしてケガを治すだけでなく、同時に「こころの治療」も必要になる場合も多々あるのです。私は、慢性疼痛患者ですし、医師としても整形外科、精神科両方の経験があります。なので、さまざまな視点で痛みの診療ができる点が強みだと思っていますので、これからも痛みについてたくさんの情報を伝え、皆さんと一緒に悩み、歩んでいきたいと考えています。

痛みの評価の難しさ

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

今日は、「痛みの評価」についてです。今日は、痛みをどのように評価しているのか?を紹介します。病院では、以下の方法をよく用います。

ヌーメリック・レイティング・スケール(NRS:numerical rating scale)

0が痛みが全くない、10が今までで一番痛い痛みとして、患者さんが感じている痛みの程度を指示してもらいます。「0が全く痛くない、10が今までで一番痛い痛みとしたら、いまの痛みは0から10のうちなになりますか?」と質問して数字で答えてもらいます。

これだけ?ハイ、そうなんです。痛みは、客観的に評価できないですから。

このテスト受けた方たくさんおられると思います。何のために聞くの?と思うでしょうね(わたしもそう思っていました)

 

でも、それを一か月、半年、1年と長く毎日評価していくとあることがわかります。

「本人にとっての痛みの苦痛がどう変化していったか?」

例えば、受診時に、8の痛みがあった方が、鎮痛薬を処方して2週間後が7、1か月後が6・・・となれば、とりあえず患者様は良い方向には向かっているのね?ということがわかりますね。痛みが軽減しているのでいまの治療があっていそうだという一つの材料になります。逆に、8→6→10なんて変化したら治療方針を見直さないといけないかもしれませんよね。

 

痛みは、主観的なものです。私も一患者としていつも思いますが、

「痛みが客観的にわかる数値や他人が疑似体験できる装置ができたらノーベル賞や」

痛みに対する認知が進み、他人が理解できるようになる日が来ることを願ってやみません。

 

 

サインバルタの解説

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

今日は、「サインバルタ」の解説をします。

 

サインバルタは、一般名はデュロキセチンといいます。

SNRIセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)です。

セロトニンノルアドレナリンも脳内神経伝達物質の一つです(要は、神経同士の連絡を取るための物質)

脳内セロトニンが欠乏すると、不安、抑うつ、気分不安定になり

脳内ノルアドレナリンが欠乏すると、やる気、活気がなくなります。

それを改善するお薬です!

特徴

SNRIの一つで、抗うつ薬うつ病によく使われる

・うつ症状を改善しかつやる気も上げます

・急激に中止すると、離脱症状(頭痛、倦怠感、抑うつ)、自己中断はダメ

・また、躁転(気分高揚)や焦燥感を高め自傷行為を起こしたりします、なので、24歳以下には使用しません

・効くのに、2週間から1か月かかります

・最初の2週間は、頭痛、吐き気、食欲不振、不眠、焦燥感など副作用が多い

・その他、性機能障害や肥満など多数副作用あり

そこら辺の薬と違い、管理が難しいので

「精神科もしくは、サインバルタを使い慣れている医師に処方されるべき」

です!

 

でも、「サインバルタ」は抗うつ薬ですが、皆さんもご存じの通り

「慢性疼痛」にも処方されます!

 

サインバルタは、抑うつを改善し、かつ下行疼痛抑制系を増強します(要は、脳が痛みを感じにくくする)ことで鎮痛薬作用がでます。

変形性関節症や糖尿病神経障害をはじめ種々の慢性疼痛に処方されます。

 

サインバルタは、今や慢性疼痛には必須の薬剤ですが、使用するときは医師と十分相談してください。

痛みと人生

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

今日は、「痛みと人生」です。

痛みや障害は、「生活」を奪います。それはもちろん大変なことです。でも、同時にしもそも人生を生きる「楽しみ」を奪います。人間は、楽しいと感じるから、生きがいが生まれ、存在意義、自己肯定感にも繋がるわけです。これは、障害の有無に関わらずみな共通のことです。でも、痛みや障害を負うと、楽しいことをも楽しいと感じられなくなるのです。これが、痛みや障害を抱える最も怖いところだと思っています!私の経験を例に説明しましょう。

 

私の趣味は、「運動」でした。走ったり飛んだり跳ねたり、筋トレしたり、、、体を動かすことが趣味でした。天気の良い日は運動することしか考えていませんでしたね。でも、私は、両膝を痛め一瞬にして趣味を失いました。手術すればまた走れるって思いました。でも結果、走るどころか、歩くこともままならず現実の厳しさをつきつけられました。楽しみを失い、怒り、喪失感、無力感に襲われました。さらには、仕事もやっと生活も脅かされ、さらに運動できないので太って不健康に。将来が不安で不安で。次第に、テレビみても映画みても楽しくないし、休日なのに休んでる感覚がない、外があんなに好きだったのに引きこもりがちとなりました。将来も真っ暗に思えました。いわゆる、うつですね。そこに追い討ちをかけるように、治らないひどい疼痛が毎日毎日おそってくるので死にたい気分でした。健常者が楽しそうに走っていると、イライラ、美貌、妬み、無力感など複雑な感情に巻き込まれて正直引きこもってた方が楽でした。

「膝のせいで、私の人生は壊れた・・・」

何度もそう思いました。そして、たくさん後悔しました。後悔しても過去はもどりません。痛みや障害を抱える一度はそうなったことあると思います!ほんと怖いですよね😭

「痛みや障害って、人生そのものの楽しみを奪うんだな」

でも、ある時ふと思ったのです。

「人生楽しみ見つけないと、自分がもっとダメになりそう」

不安、恐怖から焦燥感に変わってきました。

運動をいう趣味を失ったわたしは、将棋やカラオケ、ゲーム、園芸など試したり、そのストレスを仕事に費やしたり、ブログを始めて痛みや障害の人のために活動してみようと思うなど行動が増えてきました。「行動」しないと何も変わらないと思ったのです。

「失ったものを悩んでもしょうがない、残された機能で人生楽しむ術を見つける」

そのためには、「趣味や生きがい」を見つけること。それがないと、自分が生きてる意義が見出せなくないですから。で、趣味や生きがいを残された機能の中で自分にできそう、得意そうなところからチャレンジしてみる、行動してみる。これが大事なのではないかと最近感じます。今まで、痛みが嫌いで嫌いで、自分の不遇をいっぱい悩んでいましたが、「痛みは、痛みを経験した人にしかわからない。医師としての経験も生かせるし、痛みに困る方のためにがんばろう!」

と考えるようになってから、少し気持ちが楽になりました!

皆さまから、たくさん支持いただき大変感謝しております🥺痛みを抱える仲間がこんなにたくさんいることを知り、頑張らないといけないと思い私にとっては皆さまが救いです。なので、私も何か貢献していきたいです。自分の弱みを強みに変えてしまうことを自分の目標とし、それを趣味生きがいに変えていけたらいいですよね。皆様何卒お願い申し上げます🤲ブログ見てくださり、誠にありがとうございました😊

 

 

鎮痛薬 トラムセット

こんにちは★痛みとのたたか医です!


今日は、みなさんがよく使われている「トラムセット」について解説します!トラムセットって比較的きくけど、どんな薬?って思った方多いと思います。


トラムセット=トラマールとアセトアミノフェンの合剤です。


トラマールは、簡単に言うとオピオイド(弱い麻薬)の一つです。

アセトアミノフェンは、頭痛にバファリンなどという成分にもはいっている鎮痛薬の一種です(後日解説します)

つまり、機序の違うくすりの合剤なんです!


トラムセットの特徴

・鎮痛薬の合剤で、麻薬成分もあり比較的鎮痛作用が強い

・急性痛から慢性痛まで比較的頑固な疼痛に処方されている印象です

・即効性もあり、頓服でも使います

・一般には一日4回まで

・吐き気が副作用で多く止めと飲むことが多い

・その他、眠気、消化性潰瘍、多幸感などあり

・依存には注意(麻薬全般)


トラムセットって慢性疼痛患者でも出されるんですが、トラムセットってココすごいですよ!


①鎮痛 

鎮痛薬としての作用と、下行疼痛抑制系を増強する

→簡単にいうと、局所の痛みにも効くし、脳が痛みを感じにくくする作用がある

②気分を持ち上げる作用 

下行疼痛抑制系の増強と麻薬の副作用、多幸感


痛みって、傷んでる部位があるから痛いわけですが、結局感じるのは脳なんですよね!

なので、

①局所の鎮痛

②脳が痛みに過敏にならないようにする

の2点が大事なんです!

その点では、トラムセットは強いですね!


簡単に、解説しました!

みなさんがよく使うトラムセットが、少しでも理解深まれば幸いです。

下行疼痛抑制系は後日解説します!

とりあえず、痛みの治療は脳も影響するということを覚えてくださると良いと思います!




痛みと仕事の大変さ

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

 

今日は、「痛みと仕事」です。

痛みを抱えて仕事をするってとても大変なことです。

私自身もたくさんつらい思いをしてきました。

今日は、そんな自分の経験を振り返ってみます!

 

就職デビューをした頃、私は膝の調子がわるかった。なので、診断書を提出して入職しました。「長時間の立位歩行は制限あり、悪化時は休養が必要」と。

入職してから、いろんな先生に挨拶するわけですが、

「私、実は膝が悪いんです・・・」と自己申告していた。これは、自分を守るため、自分を知ってもらわないと、痛みで動けないときやる気なさそうに思われるから自己防衛するために・・・

だから、勉強しました。動けない代わりに、知識をつけていれば、いい先生と思われるだろうと。やる気がないわけでないんです!むしろ、若気の至りで自分はたくさん経験したいと血の気にあふれています。医師として経験を積み、いい先生になれるよう頑張ろうと・・・活気のあるひとりの若者です。

でも、現実は非情です。やる気を打ち砕かれるのです。

膝が痛いのでのろのろしていたらある日、

「救急車が来るのに、なぜすぐこない? やる気がたらない、動きが遅い!」

と怒鳴られる。

またある日は、痛みのためさりげなく手術室で座って業務していると

「おまえ、手術室で座るな!はやく立て!!!」

座ってできる仕事なのに、怒鳴られる。しかも、その後やる気のない医師として無視し続けられました・・・

私だって、好きで座ってんじゃねぇ!!!と内心怒鳴りたいけどそうもいかず

「はい、すいません」というしかできませんでした。

医師として一人前になること、はもちろん大事ですが、私にも生活がかかっているのです。仕事しないと、飯食えない、結婚もできない、自由になれないのです。

だから、必死に耐えてがんばりました。その結果、うつになりました。

さらに、痛いと訴え主治医に相談すると、

「大丈夫、腫れてないから。できることないし、痛み止めのんでおいて」

こんなもんです。痛みの先生ですら、この状態。

そりゃー痛みを経験してないからわからないでしょうねー

 

こんなもんです・・・「だれにも理解されません」状態。

こんな経験は、痛みをもつ方たちはみんなしていると思います。

その気持ち、わかります。痛みや障害を経験した人にしかわかりません。

だから、私は痛みや障害で困る人に寄り添い、一緒に考えていきたいのです。

 

 

鎮痛薬 ロキソニン

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

今日は、「鎮痛薬」について解説していきたいと思います(#^^#)

医師に処方されるけど、よくわからない方っていますよね?

ロキソニン、トラムセット、カロナール、リリカ・・・

名前は聞くけどよくわからないって感じですよねー

でも、自分の薬がどんなものか知っておいたほうがメリットが大きいです。

また、医師がどういう意図で処方するのかも気になりますよね。

今日は「ロキソニン」を一般の方のために簡単に解説します!

 

①作用、効能

NSAIDsのなかまで、炎症を起こす物質(炎症性メディエーター)を抑制する薬です。

肉離れを例にわかりやすくいうと、、、

肉離れ→組織の損傷、出血→組織を修復するために、炎症を起こす→疼痛→炎症により組織が増殖→治癒

という手順を踏むわけです!

炎症が活性化すると、ケガした部位は熱感、発赤、腫脹など起こすのですが、疼痛も同時に引き起こします。炎症は、組織修復に大事なのですが、強い炎症はかえって強い痛みを引き起こします。そこで、痛みを起こす炎症メディエーターを抑制し痛みを軽減しようとする薬がNSAIDsであり、「ロキソニン」の作用なのです。

 

②適応、使い分け

侵害受容性疼痛に有効神経障害性疼痛にはあまり効かない

→肉離れや骨折などケガには効くが、神経痛には無効

・基本的には、急性痛で使用し、慢性痛には向かない印象

・頓服で出されることも多い薬

・鎮痛だけでなく、解熱剤としても有効(発熱というのも炎症です)

・胃を痛める、腎臓を痛める

→胃や腎臓悪い人にはよくない、特に長期服用には注意

・必ず胃薬の併用し、空腹時は飲まない(胃潰瘍のリスク予防)

・喘息の方は注意が必要

 

どうだったでしょうか?とても簡単に説明しました!

詳しい作用機序など説明すると長々になるのでポイントのみコンパクトにまとめました!あなたの疼痛治療のご参考になれば幸いです!(^^)!