治療経験① 大腿骨骨折後の慢性痛
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
今日は、私の治療経験を実際に皆様にお伝えしたいと思います(個人情報は一切載せません)
症例
70代女性
経過
半年前に、転倒し右大腿骨転子部骨折をされた。翌日、右大腿骨骨接合術施行。
その後、リハビリ行い歩行できるようになったが、右股関節痛が続いていてリハビリが進まず、室内をやっと移動できる程度であった。ある医師は、ロキソプロフェンを中心に処方していたが改善がなく、痛みが増強し、救急搬送され私が診察を担当。
診察
右股関節に圧痛はなく、可動させると痛みが増強した。手術部の傷は問題なし。
痛みが原因で、歩けない、食事がとれない。抑うつ気味であると。
画像でも、骨折術後で特に問題なし。新たな骨折なし。
評価
痛みになる原因は、はっきりしない。器質的には大きく問題なし。
私は、「術後慢性疼痛」と判断。急性期によい鎮痛が図れていなかったことが原因と判断。腎臓も悪いのに、ロキソプロフェンが使われていたので変更も必要。
治療
サインバルタ導入。サインバルタの副作用で吐き気あるものの、導入後2週間で痛みが軽減傾向となり、リハビリを積極的におこなった。抑うつ傾向であったが、食事も食べられるまで回復。リハビリで、病棟内一人で歩けるようになり退院。
痛みと、食欲と、リハビリとすべてがよい方向に改善した方であった。
まとめ
・急性期にしっかり鎮痛できていないと、慢性痛に移行する場合がある
・いったん慢性痛に移行すると難治性になる
・痛みの治療は認知が低く、診療が適当になり不利益を得ている患者さまは多い
痛み止め副作用あるある①
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
今日は、「痛み止め副作用あるある」をランキング化してみます。疼痛患者あるあるですが、痛み止めを複数飲んでいますよね。そうすると、痛み止めに頼るあまりに副作用をきにせず、副作用に苦しめられることになるわけです。
薬の怖さを知っておきましょう。
①シップベタベタ貼って、しかも頓服のロキソニンを胃薬と飲まずに、吐血
胃薬を飲まずに、ロキソニン飲むと、胃潰瘍になります。シップは、ロキソニンと同じ成分なので量も上限を超えます、腎臓も悲鳴あげますのでご注意を。
②リリカを服用して転倒、骨折
リリカは、傾眠、めまいの副作用が必発です。リリカ飲む高齢者がトイレに行くのに夜中転んで骨折はあるあるです。服用後、運転は禁止です。
③サインバルタを飲んだらなんだか気持ち悪い、急にやめたらおかしくなった
サインバルタは、食欲不振、吐き気、頭痛、肥満、勃起不全・・・などなどはじめの数週間はでやすいです。躁病みたいになることもありますね。また、離脱症状起こすので急に中止してはいけません。
④リリカとトラムセットを飲んだら意識消失
両方傾眠になるので、副作用がより強くでます。
⑤トラムセットを飲んだら便秘、しかもなんだか異常に元気に
麻薬の類は、便秘起こします。さらに、精神作用もありますので注意を。
以上はよくあるので注意しましょう。
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主に、痛みの関連話題についてみなさまにお役立ち情報をお届け。さらには、医学一般的な話題や疑問をわかりやすく解説。主なテーマは、痛み、慢性痛、精神医学、整形外科になります。
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◉痛みとのたたか医 プロフィール
医師(元整形外科 現精神科) 両膝痛患者(両側膝蓋大腿関節障害、CRPS)
現役医師として、慢性疼痛に取り組む。
「痛み」「慢性痛」「整形外科的痛み」「うつ」「精神疾患」などがメインです。
2016年膝の手術を受けてから、慢性疼痛患者に。痛みとつき合いがながらなんとか卒業。医学部卒業後、医師免許取得。同時に、臨床研修医として2年間、内科、救急科、地域医療など様々な臨床現場で研修し従事し医師としてのキホンを習得。痛みで離脱しそうになるが、休まず勤務し研修終了。2019年膝カテーテル治療行う。専門は、整形外科に進み、さまざまな整形外科疾患を担当、多数の手術も経験。多数の痛みに苦しむ方の治療にあたってきました。その後、膝痛が強くなり立ち仕事が難しくなり、疼痛のこころの治療に興味があり精神科へ。現在、精神科医師として研鑽中。整形外科×精神科というかなり珍しいキャリアとなっている。
◉所属学会
・日本整形外科学会
・日本精神神経医学会
他人と比較する習慣
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
今回、とても大切なことを述べます。
他人と比較する習慣は、マイナスである
変えられるのは他人ではなく、自分だけじゃないですか???
他人が金持ちだったら・・・幸せそうだったら・・・だから何なんでしょう。
それを妬んだり、羨んだりしても金持ちになるわけもありません。
つまり、悩んだところで解決しません。
他人を意識しすぎると、行動が止まり、「悩みの沼」にはまる。気分も落ち込む。
自分だけが変えられるものを変える意識と行動が大事
それができないと、苦しみ続ける。当たり前や普通という観念に、引っ張られないことが大切です。
倫理学者バードランド・ラッセルは、
「人間性の特徴の中で、ねたみが最も不幸なものである」と言及しています。
それは、自分が持っているものから喜びを見出すのではなく、他人が持っているものを奪いたい、他人に災いを与えたいという感情だから。
ラッセルはいくつかの処方箋を提案しており、
嫉妬の対抗馬として〈賛美の念〉を増やすこと。つまり、相手をうらやんだり嫌ったりする前に、褒めるべき点、そして学ぶべき部分を探そうというわけです。
痛みの患者さまは、
自分は、不幸な人間 痛みは不治の病
自分は健常人だったら・・・ 自分はおかしな人間なのかな・・・
あの人はこんなことできるのに、自分は何もできない
金持ちは幸せそう 自分は貧乏
自分は孤独 あの家庭は妻子供もいて幸せそう
なんて、他人と比較し悲観的になる場面も多いんです。これは当たり前なんです。
それだけ痛みの苦痛は半端ない!
私もそのひとりなのでお気持ちわかります。でも、結局、、、
他人と比較して悩んでも何も解決しない
そういうマイナス、破滅的思考にならないように私も気をつけようと思いますし、
患者様がそうならないように精神科医として「こころもケア」も頑張っていきます。
今日、自分は・・・を頑張った。成長した。努力できた!
これが楽しい、おもしろい。
あの人は・・・すごい。おめでとう!
あの人からこんなことを学んだ うれしい。
・・・してくれてありがとう。などど感謝する。
→こんな大人になれればいいんですけどー笑
まあ。要は
解決できない悩みは無視して、自分ができることに集中する
これが今日みなさんに伝えたい take home message
人工関節と生活
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
本日は、人工関節のお話です。
人工膝関節・股関節の適応は、保存的治療に抵抗する関節疾患による疼痛や機能障害のためADL・QOLが障害される場合です。禁忌は、感染症の方や全身状態の悪い方です。関節が感染起こし、関節破壊すると最終的に治りません。
人工膝関節置換術は、年間8万件、股関節は、5万件日本で行われています。
治療効果は、膝で約80%、股関節で約90%の改善率で、治療効果も高いです。一般的な治療になってきましたね。でも、人工関節はあくまで人工物なので壊れたら治りません。大切に扱ってください。運動の注意点を以下にあげてみます(詳しくは主治医に相談してください)
人工関節術後の運動
①許可
ウォーキング、ゴルフ、自転車、水泳
⓶要相談
テニス、スキー、ハイキング、スケート、筋トレマシーン
③禁止
ランニング、スノーボード、野球、サッカー
脊髄損傷と日常生活
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
今日は、「脊髄損傷」です。
脊髄損傷の方は、一般には「歩けない」、歩けないのが一番大変と思われがちですが
実生活においてはもっと大変なことがたくさんあります。それについて今日は解説し、脊髄損傷についてより認知、理解が進めばいいなと思っております。脊髄損傷は、障害高位と神経損傷の程度で重症度が決まり、軽症から重症まで多岐にわたりますので個人差が大きいですが、以下主な障害です。
運動神経障害
いわゆる、麻痺ですね。からだを思うように動かせないので、歩行、起立、移乗はもちろん、座っていられない、箸をもつ、物をとるなど動きに制限がでます。障害高位が上だと、嚥下機能(飲み込み)ができず、誤嚥したりして肺炎や窒息になることがあります。場合によっては、自力呼吸ができないこともあり人工呼吸の方もいます。
感覚障害
触っているのがわからない、自分の体の一部として認識できない障害ですね。風呂に入ってもあったかい、冷たいがわかりません。特に、トラブルになるのは「褥瘡」ですね。褥瘡って高齢者の疾患というイメージありますが、健常人でももし体位変換しなければ普通になります。健常人は、同じ姿勢でいると圧迫部位が痛んだり、しびれたりがわかるので体位変換できますが、感覚障害があるとそれがわかりません。さらに、体を動かせなければずっと同じ姿勢なわけです。「昨日なかった褥瘡が、朝起きたら褥瘡ができて大変」なんてことがあるので、常に褥瘡対策は欠かせません。
自律神経障害
神経には動かす・感じる以外に自律神経があり、体温や血圧、水分調整など体の恒常性を維持する働きがあります。これが、障害されると以下の障害がでます。
①体温調整ができない、汗をかけない、起きていられない
②排便や排尿トラブル
これが、最も大変かもしれません。便意や尿意をコントロールできないので、「いきなり尿が出てきた」とか「便が何日もでなくておなかパンパン」とか・・・
「いきなりうんちがでてきた」なんて人前で起こることもあるので、大変工夫して生活しているのです。便秘薬、尿道カテーテルや自己導尿、おむつ、場合によっては人工肛門なども必要になります。カテーテルが入ると、尿路感染症で発熱がでたり命の危険を伴うこともあります。
③性機能障害
勃起や射精など性生活が難しい場合があります。男性の睾丸は温度に敏感なので、温度調整ができないと精子に異常がでます。不妊治療されている方もおられます。
以上、よくあるトラブルを紹介しました。まだまだほかにもたくさんあります。
脊髄損傷の方は、このように個人がすごく苦労あり、努力して生活されているので、私も頭が上がりません。障害が多い分、周囲の方の配慮、親切心が本当に大事なので、できないことがあったらみなさん広い心で積極的に対応してください。
腎臓と薬の関係
こんにちは★ 痛みとのたたか医です!
今日は、「薬と腎臓」です。
今、あなたは痛みや障害を抱え薬を飲んでいると思います。医師から飲むように言われて漠然と飲んでいるかもしれません。薬は、「必ず副作用」があります。酒は、少量なら健康にいいですが、酒を飲めば、酔っぱらいますし、飲みすぎると種々の合併症を起こします。同じことですので、薬を飲んでいるひとは必ず副作用に留意してください。
なぜ、腎臓なのか?それは、医療で使われる多くの薬が腎臓で排出されるからです。
ということは、腎臓が悪いと、薬の副作用が出やすくなるし、薬自体が腎臓を痛める薬が実は結構あるのです。腎臓悪い人には減量して医師は処方します。今回は腎臓に影響があるよく使われるお薬を紹介します。
①抗生物質全般
細菌を殺すために使われる抗生物質。肺炎や腎盂腎炎、その他各種細菌感染症でつかいます。実は、腎臓にはあまりよくありません。なかには、アミノグリコシド系の抗生物質のように腎臓を直接傷める薬もあります。腎臓が悪い人には、減量し使うのが普通です。
⓶NSAIDs
ロキソニンやボルタレン、セレコックスなどの鎮痛薬です。腎臓の悪い高齢者が痛みのため漫然と処方され飲んでいることが多々あります。痛みに悩むあなたも使っている可能性の高い薬です。内服薬、シップ、注射、坐薬など多岐にわたります。
③抗がん剤、抗リウマチ薬
これも、腎臓を直接傷める可能性のある薬です。リウマチのメトトレキサートなんかが該当します。
④造影剤
造影剤の検査(CT、カテーテル検査)など画像検査によく使いますが、これも腎臓を傷める薬剤です。腎臓が悪い人は使えないこともあります。
大切なあなたの腎臓ですから、不安なときは医師に相談してみてください。