脊髄損傷と日常生活

こんにちは★ 痛みとのたたか医です!

今日は、「脊髄損傷」です。

脊髄損傷の方は、一般には「歩けない」、歩けないのが一番大変と思われがちですが

実生活においてはもっと大変なことがたくさんあります。それについて今日は解説し、脊髄損傷についてより認知、理解が進めばいいなと思っております。脊髄損傷は、障害高位と神経損傷の程度で重症度が決まり、軽症から重症まで多岐にわたりますので個人差が大きいですが、以下主な障害です。

 

運動神経障害

いわゆる、麻痺ですね。からだを思うように動かせないので、歩行、起立、移乗はもちろん、座っていられない、箸をもつ、物をとるなど動きに制限がでます。障害高位が上だと、嚥下機能(飲み込み)ができず、誤嚥したりして肺炎や窒息になることがあります。場合によっては、自力呼吸ができないこともあり人工呼吸の方もいます。

感覚障害

触っているのがわからない、自分の体の一部として認識できない障害ですね。風呂に入ってもあったかい、冷たいがわかりません。特に、トラブルになるのは「褥瘡」ですね。褥瘡って高齢者の疾患というイメージありますが、健常人でももし体位変換しなければ普通になります。健常人は、同じ姿勢でいると圧迫部位が痛んだり、しびれたりがわかるので体位変換できますが、感覚障害があるとそれがわかりません。さらに、体を動かせなければずっと同じ姿勢なわけです。「昨日なかった褥瘡が、朝起きたら褥瘡ができて大変」なんてことがあるので、常に褥瘡対策は欠かせません。

自律神経障害

神経には動かす・感じる以外に自律神経があり、体温や血圧、水分調整など体の恒常性を維持する働きがあります。これが、障害されると以下の障害がでます。

①体温調整ができない、汗をかけない、起きていられない

②排便や排尿トラブル

これが、最も大変かもしれません。便意や尿意をコントロールできないので、「いきなり尿が出てきた」とか「便が何日もでなくておなかパンパン」とか・・・

「いきなりうんちがでてきた」なんて人前で起こることもあるので、大変工夫して生活しているのです。便秘薬、尿道カテーテルや自己導尿、おむつ、場合によっては人工肛門なども必要になります。カテーテルが入ると、尿路感染症で発熱がでたり命の危険を伴うこともあります。

③性機能障害

勃起や射精など性生活が難しい場合があります。男性の睾丸は温度に敏感なので、温度調整ができないと精子に異常がでます。不妊治療されている方もおられます。

 

以上、よくあるトラブルを紹介しました。まだまだほかにもたくさんあります。

脊髄損傷の方は、このように個人がすごく苦労あり、努力して生活されているので、私も頭が上がりません。障害が多い分、周囲の方の配慮、親切心が本当に大事なので、できないことがあったらみなさん広い心で積極的に対応してください。